• リスク負担を考える
  • SPCによる不動産資産流動化のビジネスモデル
  • NECのケース
  • 日本の不動産投資におけるSPCの現状と将来性
  • ABSの破綻実例

リスク負担を考える
|不動産資産を考える

2012-05-21更新

リスク負担割合=リスク負担の金額/流動化する不動産の譲渡時の適正な時価 このリスク負担は金額換算によるものであり、信託受益権、組合の出資金、株式、会社の出資金、社債等、証券の種類は問わない。「実務指針」に示されたリスク負担の基準によれば、「概ね5%の範囲内」であれば、譲渡企業は譲渡取引を売却取引として会計処理することができる。「概ね5%の範囲内」以上であれば、この譲渡取引は金融取引として処理されなければならない。会計処理上、譲渡不動産のリスクと経済価値の「ほとんどすべて」を譲受人であるSPCに移転しなければ、オフバランスが認められない。譲渡企業が買戻しの権利、条件を保有していたり、譲渡先のSPCが何らかの形で子会社であったり、不動産資産のリスクと経済価値が95%以上移転していなかったりする場合は、売買取引ではなく金融取引としてみなされることになる。会計上のオフバランスには、「SPCを通じて他者に移転する」ことが基準となる。アメリカ等では、買戻し特約等のリスクヘッジをする必要がある証券、あるいは売れ残るような劣後部分が存在する証券化は、市場に出てきても自然淘汰されるという考え方がある。しかしそれは、劣後債等のいわゆるジャンクボンド(投資不適格債)に対して積極的に投資する考え方、信用補填等の様々な投資技術、インデックスインフラが整備されてはじめていえることである。

日本でのメザニン市場

それに比べて、そのようなメザニン市場が成熟していない日本では、まだまだ劣後部分に対する柔軟な考え方が必要とされるべき、という批判もある。実際2000年までに、SPCによる証券化の市場が1兆円規模に成長したとされているが、この実務指針の導入によって計画を断念せざるを得ないケースが多く出た。日本の金融システムのセキュリタイゼーションは、まだ育成の段階である。商品に対する信頼性、インフラ、考え方が成熟して市場が育つためには、何かしらのインセンティブが必要となる。日本におけるセカンダリーマーケットを育てるインセンティブとして、SPCへの期待は大きい。前出の企業Xは、20億円の談波資産に対して8億円の優先出資証券を保有する。その場合、5%ルールからすると、会計上オフバランスが認められないことになる。P/L上も不動産資産Bの売却益は計上できない。さらに、資産Bを運用する賃貸収入、社債の支払う利子が計上される。当然、先の試算でのROE、ROAの指標にも大きな影響を与えることになる。資産流動化スキームのリスク負担の5%ルールに従ってオフバランスをさせるのであれば、優先出資に対する出資額を1億円(1億円÷20億円=5%)以下に抑えなければならない。上記で試みたいろいろな財務戦略パターンは、基本的に資産の売却益をないものとして考えられるケースである。